2. ウルトラ建築

日本の建築について 磯崎新の「和様化」

東大寺南大門のアクロバットな架構 開智学校 長野県松本市 日本建築を日本の文化として評価するときに注意すべき点を以下にメモした。 ★前提 日本の建物が「建築=Architecture」として認識されるようになったのは明治時代になってからである。「日本建築」と…

09 南大門のアクロバット

写真は東大寺南大門。この建築が作られたとき日本は鎌倉時代初期、中国は宗の時代だった。その宗から輸入したハイテクを用いてこの南大門は作られた。現存する最大の木造建築物の1つだ。南大門の上棟が1199年、メインの大仏殿は9年早い1190年に上棟してい…

08 人間性を見極める小屋

千利休の茶室「待庵」。客間は2枚の畳のみ。正面にとこの間、0.5帖。主人用の「次の間」と「勝手」が襖で仕切られてとなりにある。それぞれ1帖ずつ。さて、この2帖半の極小スペースで客と主人はどんなふうに振る舞ったのか。利休のもとでお茶をするとなれば…

07 出雲大社の巨大柱

出雲大社・社殿の巨大柱が発掘され、この建物が尋常ならざる高さだったことが判明した。平成11年(1999年)〜平成12年(2000年)の発掘調査で社殿を支えていた巨大な柱が地面から掘り出されたのだ。調査結果と書物から推定される出雲大社・社殿の姿は以下の…

06 33間堂のスーパー水平性

前回に引き続き、清盛がらみで今日は33間堂。この建築物も過去に前例のない突然変異だ。「1000本の手」をもつ千手観音様1000体が一堂に出現。この奇跡のシーンを本当に実現してしまったのが33間堂だ。33間堂のすごさは実際にその場に行ってみ…

71 建築のあたらしい大きさ

石上純也氏の模型です。水平方向と垂直方向。同じ距離を進むなら、垂直方向に移動した方が周囲の変化が大きい。しかし、現在の高層ビルはその特性を生かせてない。

54 タンカーは片持ち梁

海の上を走る船。タンカーはことに船体が長い。建築物なら柱と基礎が本体を支える。タンカーの場合、長い船体全体を1つの片持ち梁と考えていい。

37 三峡ダム

三峡ダムは中国の長江をせき止める超巨大ダムです。15年以上の歳月をかけて2009年に完成しました。水力による発電量は1820万kw。ざっくり比較すると、東京電力の総発電量が6000万kw。その内、火力発電3800万kw。原子力発電1700万kw。関西電力の黒部ダムの水…

17 自然に抵抗しない建築

外壁は薄氷のような全面ガラス。柱は小枝のよう。自然に抵抗するのが建築だ。というドグマを解毒できるか。この空間は、たしかに別の世界観を感じさせてくれます。石上純也さん設計の神奈川工科大学KAIT工房です。

52/75 「雲のあぶみ」

建築家:リシツキー 作品:「雲のあぶみ」 制作:1924年 場所:スイスEl Lissitzky & Mart Stam ' Wolkenbugel ' 1924 Switzerland ☆リシツキーについて

65/75 時間が飛翔する

茶室「待庵」のにじり口です。「待庵」は千利休がつくった4帖半の茶室で、極小の名建築ですね。京都の妙喜庵にオリジナルのまま保存されている国宝です。 「待庵」の客をもてなすスペースは2帖半。畳が2帖、床の間が0.5帖。残りの2帖は次の間と勝手ですね。…

50/75 「崇高」

ブーレ Etienne-Louis Boullee の「ニュートン記念廟」1784年です。ニュートンを讃える記念館ですね。森羅万象の真理である「万有引力」を発見した偉大な天才にふさわしいのは巨大建築だ、という単刀直入なアイディアがもとになっています。「偉大」=「巨大…

46/75 第三インターナショナル記念塔  

これは「第三インターナショナル記念塔」"Monument to the Third International" の模型です。「第三インターナショナル」は1919年にレーニンがつくった労働運動の国際組織ですね。その運動を鼓舞するために計画されたのがこの記念塔です。 デザインしたのは…

45/75 幻視の建築家

建築家エティエンヌ・ルイ・ブレ Etienne Louis Boull?e が描いた「偉人像のための寺院が中央にあるミュージアム」です。絵のサイズは横84cm、縦46cm。かなりの大画面です。1783年に制作されました。 フランスにおいてブレやルドゥー、ルクーなど幻視の建築…

35/75 大自然 super-nature

自然について考えてみます。我々の身近にある自然は、多くが人間に制御されて存在しています。まちなかの樹木はもちろん、郊外の山林も人間が伐採や土留め工事などの管理をしないと現在の姿を保つことはできないでしょう。雨や風などの自然現象については人…

31/75 雲のあぶみ

ロシアの美術家エル・リシツキーとオランダの建築家マルト・スタムがデザインした「雲のあぶみ」です。モスクワの中心部に計画された事務所ビルですね。1924年にスイスで制作されました。「あぶみ」とは鞍(くら)の両側にたらして足をのせる馬具のことです。 …

22/75 高さ800m超か?

「世界で一番高い建物」はカナダのトロントにあるCNタワーで、その高さ553m。一方「世界で一番高いビル」は、現在のところ台湾にある台北101で高さ508mです。 ここで言う「建物」とは建物全般、すべての建築物を含めています。したがって高さが100m以上…

11/75 巨大都市装置

「グレートホール」の模型です。設計したのはナチスドイツの建築家アルベルト・シュペーア Albert Speer ですね。ドームの直径は250m、収容人数は15万人。ちなみに東京ドームが直径210m、収容人数は5.5万人です。右側の模型はライヒスターク(国会議事堂)…

04/75 安土城の「天主」

天守閣の建築型をつくったエポックメイキングな例として安土城の「天主」を取り上げてみます。この建築は本能寺の変のあと焼失しましたが、現在いくつかの復元案が知られていますね。ちょっとふれておきますが、天守閣の「てんしゅ」という漢字は安土城に限…

72/75 テクノロジーと大自然

ここで言う大自然とは、山や海のことではありません。人間の想像力を超えるスーパーな「自然」です。一般に「自然」といったら、そのカウンターは「人工」です。この2つは二項対立の概念であり、人間がコントロールできる=できない、という理解可能な範囲…

71/75 本当の外

これは古代ギリシアの世界地図です。ヘカタイオスという学者の考えを後の研究者が絵に表したもののようです。地球が丸いことが事実として受け入れられてなかった時代ですから、当然、地の果ては海で終わっていますね。地球は平盤でした。アフリカやアジアは…

61/75 自然と大自然 

建築にとって自然は一番の隣人です。建築は人間がつくるもの、自然は地球から与えられたもの。建築をめぐる思考は常にこの対立、あるいは共生の構図として行われているようです。 それに対して「大自然」という概念を設定して、二項対立を超え続ける思考が誘…

飛翔する時間 10/75

これは2006年ドイツワールドカップのメイン会場に使われた競技場です。現代社会で人々が熱狂する場は、コンサート会場やこうしたスポーツ競技場などですね。我々はこれらの施設でコンサートや試合を見て気分を高揚させ、時の経つのも忘れて熱狂することがで…

73 長江をせき止める

三峡ダム 中国長江(揚子江)中流域 完成すれば世界最大となる、いまだ建設中の超巨大ダムです。今月20日(2006年5月20日)ダム本体の工事が完了し、式典が行われました。これで長江の流れは人間の力によってコントロールできるようになったわけですね。発電施設…

68 対流圏はわずか1.7/1000

対流圏とは地球を取り巻く大気圏の一部です。大気圏は窒素(78%)と酸素(21%)を主成分とする空気から成りたっています。地球が公転しても飛び散ってしまわないのは、地球の重力が空気を引き寄せているからですね。厚さは約500kmです。それに対して対流圏は地…

67 120mの廊下

蓮華王院/三十三間堂 1164年 後白河法皇の命で平清盛が造営 廊下が120mもある仏殿です。よく知られているように、内部には10段100列で1000体の観音像が安置されています。こんな不思議な建築物が京都の中心に建てられたのが面白いところですね。ここでは廊…

64 旅客機

Boeing 747-400 jumbo jet ボーイング747-400 の飛行距離は1.4万km。ちなみに地球一周が約4万kmです。高度1万mを時速1000kmで飛び、東京ーロンドン間を約12時間で飛行します。高度1万mといえば、最も高く成長する積乱雲が1万mくらいまで上がってきますが、ほ…

57 原子力空母

nuclear aircraft carrier, Nimitz class ニミッツ級原子力航空母艦 調べてみると、米国が所有する10隻の原子力空母のうち9隻がニミッツ級と呼ばれる量産タイプの空母です。量産タイプということで、これらは全て同じ規格で建造されたようです。船のデータは…

56 二畳間隅炉

妙喜庵「待庵」1582 千利休 庭に土壁の小さな小屋をつくって、中でお茶を飲む。客を招いて談笑する。自然の中にあって、壁で囲われて落ち着ける場所が草庵ですね。土壁は竹を編み土を塗り込めて作ります。意外に堅牢です。そして中に光を取込むために孔を開…

55 重源の天竺様

浄土寺浄土堂1192 後白河院/重源 木造建築のアクロバットです。柱から肘木(ひじき)が突き出して軒を支える土台をつくっています。柱と肘木の関係については、言い方を変えると、肘木が柱の途中に刺さっている。こういうやり方は日本流でないとよく言われ…