風土 2004.11.22

廃虚

風土はその土地固有のものです。おおまかに言って、アジアとヨーロッパの風土は対照的ですね。アジアの風土は湿気が多い。ヨーロッパの風土は乾燥している。この相違は建物の作り方に反映しています。アジアでは建物のフレームをまず組んでから厚みを付けていくのに対して、ヨーロッパでは下から順番に材料を積み上げて建物を作りますね。ここに湿気の作用が大きく影響しているのは間違いないでしょう。通風の良いことがアジアでは最も大事なポイントです。
さて、建物が完成したあと、長い時間がたったとき、この相違はどんな結果をもたらすのでしょうか。フレームを組んでつくったアジアの建物はどうも基本的に長持ちしないようです。燃えやすいのも弱点です。それに対して、ヨーロッパの建物は地面から積み上げた壁が堅固にがんばって長い月日を絶え抜きますね。こうしたイメージを敷衍して、それぞれの建物が廃墟になったときを考えてみましょう。ヨーロッパの廃虚は崩れた壁や柱が残る。アジアの廃墟は朽ち果てて建物自体は姿を消し、ただ地面の窪みや穴が残るのみ。西欧は凸、アジアは凹です。
というわけで、風土の違いが廃墟のかたちにも現われることが分かりました。