祭り 2004.11.21

普請場

祭りと建築は似ています。どちらも社会的な行為です。多くの人々が熱くなるところも共通ですね。普段と違う楽しさや大変さをみんなと分かち合うのが醍醐味です。
祭りは人々のパワーを引き出します。織田信長は多くの人足を動員して突貫工事をよく行いました。そのとき祭りばやしで盛り上げて作業の進捗を急がせることがありました。例えば安土城の石垣工事のとき、巨大な石を運搬する際、石を飾り立てその上で笛と太鼓のおはやしをやらせたという記録があります。町中を通る時、多くの見物人がおもしろおかしく眺めたといいます。信長は京都二条城の修築工事でも同じことをやっています。建築が社会的行為であり、祭りでもあるという本質を信長はよく理解していたのですね。
ところで、祭りには破壊の要素もあります。非日常的な行事として物が壊れたり、時には人が死んでもしかたがないと思うからですね。全国の有名な祭りでそうしたエピソードをよく耳にします。祭りの破壊的一面は建築の創造的面と対を成しています。かたちに残るものをみんなで作る。これが建築ですから。
一般に、創造と破壊は同じ概念の裏表です。この意味で建築と祭りはオリジナルが同根の社会事業と考えることができるかも知れません。あるいは、建築の中に祭りの要素があり、祭りの中に建築の要素がある。こんな言い方も可能です。