06/75 舟「忘筌」

ken1062006-12-28

小堀遠州の茶室「忘筌」です。垂れ壁のような障子は西陽除けですが、同時に意識を庭に向ける役目をもっています。
その庭は孤篷庵の中庭です。遠州が海をモチーフに造園したとされています。「忘筌」から中庭を見ると、舟の中から外を見ているような印象を受けますね。
孤篷庵は京都大徳寺塔頭の一つで、遠州はここに葬られています。「孤篷庵」という名前ですが、一艘の孤独な舟という意味が込められているとされていますね。遠州は自慢の茶室「忘筌」を船室に見立てていたのかも知れません。
ちなみに「忘筌」とは目的を果たしたらそれに使った手段や道具は忘れてよい、という荘子の言葉です。遠州は幕府の奉行として現実的な政治の世界でも活躍した人物ですから「忘筌」というネーミングはリアルですね。