14/75 神殿と車

ken1062007-01-12

この写真は「建築をめざして」(1923年)でコルビュジェがある主張をするために使ったものです。
ギリシア神殿と自動車。彼は過去の建築がいかに重く、固く、硬直した存在かを、当時先端技術の代名詞だった自動車と比較して訴えました。彼の主張は「建築も自動車を見習え!」というものです。「ドミノ」や「住宅は機械である」などはこの主張を実践した結果ですね。
コルビュジェは建物のつくり方を考えていました。建築物の生産を量産化すること、建築自体は、自動車が「走る」という明確な機能をもっているように、もっと機能的であるべきこと。こうした観点で彼は過去と断絶した建築をめざしていたのです。
ところで、コルビュジェが「住宅」をとりあげたのには一つの意図がありました。それは古典建築ではレベルの低い扱いだった「住宅」を、建築の代名詞となるように地位を引き上げることでした。これはサンジカリズムの影響もあったようですが、とにかくこれからの建築は万人に必要とされる「住宅」をメインにして造るべきだと考えたのですね。