58/75 エレベータ

ken1062007-03-22

1854年にニューヨークで行われた博覧会での一こまです。観衆の前で何か商品を説明している紳士はオーチス氏。エレベータの生みの親です。この時、彼はエレベータの安全装置について、自分を実験台にして観衆に訴えました。
というのも、当時まだエレベータは実用化の途上で、その安全性に疑問が投げかけられていたのです。つまり、エレベータ開発の要は安全装置の性能にあったのですね。
現在、エレベータは高層ビルを機能させるのに不可欠の設備になりました。ちなみに、日本のエレベータ技術は今日、おそらく世界一でしょう。現在、世界一の高さを誇る台北101には東芝製のエレベータが使われています。
エレベータは垂直方向の移動手段として、現代都市に不可欠の「都市装置」です。
この「都市装置」は高層ビルから建物の「らしさ」を消し去りました。本屋、レストラン、銀行といった幾つもの機能が積み上げられ「都市装置」で連結される。結局その高層ビルがどんな外観を持つべきかは誰もわかりません。
レストランや銀行が単体で存在すれば、その建物は持つべき外観を容易に見つけることができるはずです。そして機能が外観に現われて、建築型との一対一の対応関係が成り立つでしょう。これが、もともと「建築」本来のありかたでした。
それを崩したのが、エレベータだったと考えることができるという訳です。