26/75 こけ寺

ken1062007-11-03

地面を覆った苔が輝いて見えるとき、そこには「光空間」が存在しますね。
西芳寺の庭は夢窓疎石によるものですが、「苔」を庭の主役にする意図はなかったようです。したがってこの「光空間」は単に自然現象を見ているだけに思われるかも知れません。
しかし、庭は自然を模した人工物です。苔が輝くためには人間の世話が必要です。そんな事から、これはやはり建築の「光空間」と考えていいでしょう。
西芳寺の苔に西陽があって輝く様子に人々は極楽浄土のイメージを重ねてきたと言います。教会のステンドグラスが聖書を語るように、この寺の苔は極楽浄土を想起させる「装置」かも知れません。
名称:西芳寺苔寺
所在:京都
竣工:14世紀(中興)、8世紀(創建)