レン

wren

レン 
Sir Christopher Wren (1632-1723)

レンは英国を代表する建築家であり自然科学者です。数学、化学、天文学に通じ、王立協会の創立メンバーです。ここからフックやニュートンが出て自然科学の多くの発見がなされました。ちなみにニュートンはレンの10才年下です。

レンは知力、体力ともすぐれた人物だったようです。彼が生まれたのはイングランド南部、ウィルトシャーでストーンヘンジで有名な場所ですね。豊かな自然につつまれた田園風景が広がる地域です。彼の父はキリスト教会の高僧でした。

レンは20代のころ大学に籍をおき、解剖学や天文学を教えています。家族や親類に教会関係者が多く、幼少時代から教養ある家庭環境で育ったことが想像されますね。

30歳を過ぎるころからロンドンにあるセントポール聖堂修復の仕事を手がけます。これをきっかけに建築の仕事が増えていったようです。フランスとオランダの建築を1年ほど学んでいます。レンの作風はこのあたりに原点があるようです。古典とバロックが融合したような意匠ですね。

彼が33歳のときロンドン大火が起きます。英国の首都は大混乱に陥り、レンは国の頭脳として主に都市計画と建築の分野で事態の沈静化に邁進しました。

レンが提案したロンドン復興計画は再発防止にも力を入れたすぐれたものでしたが、利権者間の調整がうまくゆかず実現することはありませんでした。

焼失したセントポール聖堂の再建計画ではレンの案が採用され、彼の存命中に完成をみています。プラン中央に巨大なドームを載せ、ファサードに双塔を設けたバランスのよい堂々たる大聖堂ですね。いまではロンドンの顔になっています。

ロンドン大火の復興を終え、レンは建築家として数多くの教会を設計していきます。それらはほとんどが都市の教会です。最盛期には30の現場が同時進行していたといいます。レンは生涯で50を越える教会を設計しました。

現在でも多くの英国人が彼を史上最高の建築家と考えているようです。「レン」はいわば建築家の代名詞です。レンは長寿をまっとうし、91歳で亡くなりました。