ホークスムーア

hawksmoor

ホークスムーア 
Nicholas Hawksmoor
(1661-1736)

ホークスムーアは英国の建築家です。専門教育を受けてなかったにもかかわらず、若い頃から実務能力を身につけ、巨匠クリストファー・レンの右腕として世に知られるようになりました。代表作にはロンドンのウエストミンスター大寺院 Westminster Abbey のツインタワーなどが挙げられます。教会や大学の施設を多く手がけました。

ホークスムーアは Nottinghamshire の農家に生まれます。彼が5歳の時、英国史上最悪の大火事、「ロンドン大火」が起きています。彼は家計を助けるため18歳でロンドンに上京し、レンの建築事務所で事務員として働き始めます。

しかし彼は建築の専門知識を急速に会得し、20代前半の頃には早くも建築家として自立できるだけの能力を身につけていたようです。多忙だったレンは腕のたつホークスムーアを重宝に使ったことでしょう。そんな彼は実務の経験が乏しかった同世代の建築家ヴァンブラの仕事も手伝ったりしています。

やがて40代前半頃になるとレンの事務所から独立し、自分の仕事をするようになります。しかしレンへの協力は彼の存命中ずっと継続しています。レンが亡くなった時、ホークスムーアは62歳でした。

ホークスムーアという建築家はアカデミックな世界とは無縁でした。イタリアへ遊学して古典建築を研究したり、大学で講義することはなかったのです。建築史では一般的にこの建築家の作品をバロック様式に分類しますが、実際はゴシック的、古典的要素も含まれていますね。ホークスムーアには一定の作風がないという評価も存在しています。

ホークスムーアの生涯は英国建築界の巨匠、クリストファー・レンとジョン・ヴァンブラのサポートに捧げられたと考えることも可能でしょう。多忙なレンと実務の経験が乏しいヴァンブラ。この二人の巨匠はどちらも彼の助けを必要としていました。二人が残した数々の名作はホークスムーアのサポートなしにはあり得なかったかも知れません。

年齢的にはレンは30歳上、ヴァンブラは3歳下です。彼らとの意見の対立やトラブルの記録は見当たりません。後世から見ると、このことが逆にホークスムーアの存在感を薄めている原因かも知れませんね。