イニゴ・ジョーンズ

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イニゴ・ジョーンズ 
Inigo Jones (1573-1652)

イニゴ・ジョーンズは中世英国の建築家です。ミケランジェロが死んだのが1564年ですから時代はルネッサンス末期ですね。当時の英国はゴシック建築か、ローカル色の濃い中世の建物が主流でした。屋根の傾斜は急勾配。建物は垂直に伸び上がる。という感じの建築が並んでいたわけです。

そんな中、本場イタリアの古典建築を島国英国に持ち込んだことが彼の功績ですね。「比例によって建物各部の調和が保たれ、人間が美しいと感じる建築物」が英国の地でつくられたのです。こうしたイタリアの古典建築とは、簡単に言ってしまえばルネッサンスが理想とした古代ローマの建築だと、とりあえず言うことができるでしょう。

イニゴ・ジョーンズは平民の生まれです。後年、王の御用建築家にまでなりましたが、駆け出しの頃は絵を書いたり、舞台デザインなどの仕事をしていたようです。

20代の時にイタリアを訪れたことが記録に残されています。30代半ばまでは建築家としてのジョーンズには作品が存在していません。40歳の時、知己を得た有力貴族と1年半にわたってイタリアに滞在しました。このときパッラーディオの建築に出会い、「本場イタリアの古典建築」を知ったのです。

イニゴ・ジョーンズが英国に持ち込んだのは古典の中でも、パッラーディオを通したものです。彼はこの巨匠を尊敬し、弟子から貴重な図版や資料を譲り受けています。パッラーディオ自身はイニゴ・ジョーンズが7歳の時亡くなっています。

帰国後、イニゴ・ジョーンズは「本場イタリアの古典建築」に精通した第一人者となります。そして数々の名作を設計したのですね。北の国イギリスで均整のとれた見事な古典建築を残し、後続の建築家たちに大きな影響を与えました。