「生」 9/75

ken1062006-10-14

埼玉県の地下につくられた雨水処理施設です。豪雨による洪水を防ぐ目的で建設されました。「首都圏外郭放水路」というのが正式名称で、国土交通省のプロジェクトです。大量の雨水を地下の巨大トンネルで排水するのが目的です。
ところで建築物の中には人間が使わない、この写真のような構造物が存在します。そうした構造物に対して「生」の証を見いだすことはできるでしょうか。ここでいう「生」とは人間が建物にしみつけた命の痕跡、人間とともに建物も生きているその証を指しています。人間の喜怒哀楽がぶつかり合い、衣食がいとなまれる。そうして刻まれる命の痕跡ですね。そういう意味では住宅が一番つよく「生」を宿しています。
そこで、例えばこの「首都圏外郭放水路」に「生」はない。そう仮定してみましょう。人間と建物の関係を考えるための一つの補助線が引けないでしょうか。