記憶 14/75

ken1062006-10-19

今年オープンした表参道ヒルズです。手前が同潤館で、以前この場所にあった同潤会青山アパートを復元したものですね。設計者の安藤忠雄氏は同潤会アパートの復元に強くこだわりました。しかし施主側は反対だったようです。古くて汚いマイナスの記憶がしみついた建物を何も再建することはない。無駄金を使うばかりだ、と考えたようです。
安藤氏の目論みは、表参道ヒルズの一部に同潤館があることで、同潤会アパートの記憶が未来の表参道に受け継がれることです。たしかに昔の同潤会アパートを知っている人なら、復元した建物をかつてと同じ場所で見れば、当時の様子をリアルに思い出すことができるでしょう。断片でも残っていれば、記憶をたどって全体を思い出せるものです。取り壊された同潤会青山アパートの記憶をよみがえらせる引き金として同潤館が復元されたのですね。