37/75 マニエリスム

ken1062007-02-18

ジュリオ・ロマーノ Giulio Romano のパラッツオ・デル・テ Palazzo del Te です。1534年イタリアのマントヴァ Mantova につくられた貴族の館ですね。同時代のセルリオやヴァザーリが絶賛した名作ですが、奇想天外で不思議な建物としても知られています。
写真で見るように、一部がづり落ちる梁、不規則な柱割り、グロテスクな壁画など多くの奇抜なデザインに満ちた建築です。これらは「マニエリスム」Mannerism として解釈されていますね。
マニエリスム」はルネッサンスが終わりに向かう斜陽の時期に現われた様式です。様々な可能性が試され、アイディアが出尽くした時代でした。ジュリオ・ロマーノはそうした時代の空気を感じながら、奇想に満ちたデザインをしたのです。「梁の一部がづり落ちた」ような建築様式をもてあそぶ感性は「マニエリスム」の特徴ですね。
様式のルールから逸脱するデザインをしたのは、ジュリオ・ロマーノの他にミケランジェロが有名ですね。彼もまた「マニエリスム」の巨匠と見なされています。そしてもう一人時代は飛んで現代の建築家、米国のロバート・ヴェンチュ−リ Robert Venturi も「マニエリスム」の作家と考えることができるでしょう。
ヴェンチュ−リが立ち向かったのは近代様式です。彼の姿勢は皮肉に満ちたものでした。例えば、1967年竣工の「リーブハウス」はアメリカの平凡な住宅地の退屈さを逆手に取った「醜悪で普通」な家としてデザインされました。