アルベルティ

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アルベルティ 
Leon Battista Alberti (1404-1472)

アルベルティはルネッサンス時代を代表する「万能人」です。建築、絵画、彫刻、音楽、数学、詩歌、劇作、教育、法学、古典学そして、スポーツ競技の名選手。

アルベルティは性格がよく、だれにでも親切な紳士だったようです。一つの専門分野に打ち込むタイプではなく、多方面に幅広い興味を持つ人物でした。そして多くの分野で優れた成果を残せるだけの才気に恵まれていたのですね。

アルベルティの父親はフィレンツェの有力貴族でしたが、政治抗争に敗北しジェノバに追放されていました。アルベルティはそのときの子供で、庶子として生まれました。彼の幼少時代は亡命生活を余儀なくされるものだったのです。

そんな境遇の彼も、貴族だった父のおかげで英才教育を受け、ベネチア、パドバ、ボローニアで学問を修めています。

24歳のとき名門ボローニア大学を卒業し、ヨーロッパ各地の旅行に出かけます。4年後、法王庁の書記官に抜擢され64歳までその地位にありました。博聞強記で人当たりがいい彼は3代の法王に重用されたのです。

アルベルティは30歳のとき法王のお供でフィレンツェに滞在し、晩年のブルネレスキと初対面を果たしています。アルベルティが建築に開眼したのはブルネレスキの影響だったようです。

彼の建築分野における業績はいくつかの建築物の設計とコンサルタント、そして執筆活動ですね。彼の設計で有名なのはマントヴァのサンタンドレア聖堂、リミニのマラテスタ神殿などでしょうか。これらはルネッサンス建築の傑作といっていいでしょう。

アルベルティは古代ローマの建築家ウィトルウィウスの「建築十書」を発掘し、古典建築の聖典として位置づけたことでも知られています。

彼は「建築十書」を参照しながら、自らの解釈と新たに調査した古代遺跡の資料などを加えて一冊の本を執筆します。そこには比例の重要性や柱のオーダーなどが解説されています。アルベルティはこの本のタイトルをウィトルウィウスと同じ「建築十書」として出版しました。

アルベルティの「建築十書」もやはり古典建築のバイブルとなりました。