17 前例のない建築型

安土城

「近江蒲生郡安土城之図」(大阪城天守閣蔵) に描かれた安土城です。城の「天守閣」第一号とされています。つまり安土城以前に「天守閣」と呼べる建築型が存在しなかったことを意味しますね。信長の独創です。ちなみに安土城の場合は天守閣の天守を「天主」と呼んでします。琵琶湖を望む小高い丘に石垣を築き、その上に高さ30m以上あったと推定されるタワーを作ってこれを天主としました。現代の超高層ビルですね。信長の命を受けた大工の岡部又右衛門たちは前例のない建物をどうやって実現したのでしょうか。安土城の「天主閣」は法隆寺の夢殿と鹿苑寺金閣をざっくり積み重ねたような感じだったようです。西洋流に言えば「新古典主義」でしょうか。完成後わずか2年で焼失した安土城でしたが、信長が屏風に安土の様子を詳細に描かせたという記録があって、もしそれが発見されれば城の詳細も分かるでしょう。屏風はイエズス会のヴァリニャーノという人物にプレゼントされました。
安土城天主 織田信長