床 17/75

ken1062006-10-22

厳島神社です。本社祓殿から海の方を見ています。海上には高舞台と大鳥居が軸線上に配置されています。写真を見ると、そとから入って来た自然光が床面で反射してなかを照らしていますね。このように、床で反射した光が室内の奥まで入りなかを照らすのは日本建築の大きな特徴です。そしてそれは水平方向の光です。垂直方向からやってくる西洋の光とは対照的です。日本建築にとって、床は光を導く重要な部分なんですね。
それでは、どうして日本建築で床が光を導く部分になったのでしょうか?簡単に言えば、日本人の生活スペースが地面に近いからです。西洋人が「日本人は自然と共生して暮らしている」と思う生活習慣です。そして日本建築の特徴である大きい軒の出とその下の縁側も不可欠の要因です。自然光は地面、軒下、縁側という順でバウンドしながら室内に導かれ、水平方向の光となるのです。床はそれを受ける重要な働きをするという訳ですね。
厳島神社海上の建築物なので周囲は地面ではなく海面です。外から導かれた光が床で反射し、それが室内から見える遠方の海の輝きと共振したとき、きっと美しい光景となるでしょう。厳島神社が極楽浄土のように感じられる瞬間かも知れません。