フランク・ロイド・ライト

wright

フランク・ロイド・ライト 
Frank Lloyd Wright
(1867 or 1869 - 1959)

ライトはアメリカを代表する建築家です。アメリカ国内では文化功労者の一人として幅広く知られたカリスマ建築家であり、世界の建築界ではコルビュジエ、ミ−スと並ぶ3巨匠の1人ですね。

ライトは10代から建築の設計を始め、90歳を越えるまで現役の建築家として活躍し続けました。そして長い設計活動の結果、他の建築家に較べて非常に多くの建築作品を残したんですね。

また、彼は日本の浮世絵の熱心なコレクターでした。中国の古代思想にも関心があり、自己の建築観への影響を認めています。

ライトは弟子の育成にも力を入れました。アリゾナの田舎に建築学校をつくり、そこで多くの弟子たちを育てたのです。

そんなライトですが、彼の人生は波瀾万丈です。この有名建築家には多くのスキャンダルやゴシップがつきまとっています。幼少時代、父親が蒸発した。成人して家庭を持ったのに、施主の奥さんと駆け落ちをしてしまった。使用人が発狂し妻子を惨殺された。結局、3回結婚した。

伝記によると、彼はどんな不幸が襲ってきても不屈の強さで立ち上がり再び人生を切り開いた。そして新たな名作を生んだ。とされています。とにかく人生の振れ幅が大きい人物でした。

ライトの建築家としてのスタンスには一つ特徴があります。それは当時ヨーロッパとアメリカでまき起こっていた近代建築の前衛運動にあまり関係しなかったことですね。逆に、アメリカにあるライトの建築が近代建築がまだ黎明期の頃、ヨーロッパの前衛建築家たちに刺激を与えたことが分かっています。

また世代的なずれも存在しますね。ライトはコルビュジエより約20才年上です。

したがって、ライトは独自のやりかたでアメリカの大地に相応しい建築を設計したのです。

彼の建築を「有機的」「水平方向」という2つのキーワードで考えてみましょう。

まず「有機的」。建物の材料に「レンガ、木材、自然石」などを好んで使用したことで建築の外観が有機的です。また、空間の構成や配置において「有機的」と言えるような多様性と連続性が見い出せますね。

そして「水平方向」というのは水平方向に流れ出る空間をライトが目指したことを指摘するものです。ライトの考えでは、一つの部屋を完結し、閉じた空間にしないほうがよい。壁を少なくして幾つもの部屋が連続し、天井や床が水平に伸びてゆくイメージが理想でした。