カルロ・スカルパ
Carlo Scarpa (1906-1978)
スカルパはイタリアの建築家です。ベネチアに生まれ、生涯この地を拠点に活動しました。
スカルパは20歳でベネチアの美術学校を卒業し、地元の建築大学の助手となります。スカルパは建築家のライセンスをもつことがなかったので社会的には学校の先生だったんですね。
そんな訳で、無免許で建築物を設計したことが訴訟問題を引き起こしたこともありました。スカルパは大学に籍を置きながら、建築家への道を独立独歩のやり方で進んでいったのです。晩年はベネチア建築大学の学長にまでなりました。
スカルパが30代半ばのとき第二次大戦が起こりますが、彼は健康上の理由で兵役を免除されました。彼は40歳頃まで無名でした。建築関係者との交流も少なく、ムラーノ島でガラス細工の製作に打ち込んだりしたようです。世に出たのは戦争が終わってから4年か5年が過ぎてからでした。
それから30年間、スカルパは建築家として、大学教授として建築活動を活発に行い世界的な存在になります。アメリカのフランク・ロイド・ライトに心酔し、彼がベネチアを訪れたとき感激の対面をしたのは有名ですね。
作品はディテールから発想し、装飾的要素を取り込みながら全体へと調和してゆくのが特徴です。スカルパはもの自体の存在感に徹底的にこだわりました。
スカルパの作品はほとんどが改修かインテリアデザインです。都市計画などとは無縁でした。そんな彼ですが、地元のベネチアでは小さな店舗の内装1つしか実現していません。
スカルパは70歳をこえて教職を辞し、日本に観光にやってきます。しかし、なんと仙台で不慮の事故に遭い、そのまま亡くなってしまうのです。