ルイス・カーン

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ルイス・カーン 
Louis Isadore Kahn (1901-1974)

カーンはアメリカの建築家です。有名になったのは50歳を超えてから。数々の名作は、73歳で不慮の死を遂げるまでのわずか20数年間で生み出されました。大学での教育活動も精力的に行っています。

カーンは中年まであまり実作に恵まれなかったにもかかわらず、突然高いレベルの建築をデザインしました。この点について後年、弟子たちはカーンがその能力を如何にして手に入れたのかわからないと言っています。またカーンは周囲の人たちに「いままで一体何をやっていたんですか?」と不思議そうに尋ねられることがあったそうです。

そんなカーンですが、彼の建築家としての美点はものごとの本質を徹底して追求する姿勢を貫ぬいたことです。カーンは建築の設計に対して常に原点に立ちかえり、最初から本質を問い直すことを実践し続けました。"BIGINNINGS" 「もののはじまり」を大切にしたんですね。

過去の成功体験に頼らないのは、クリエーターとして偉大な証拠です。

カーンはディテールの達人でした。細部の納まり、材料の使い方、光の導き方、、、などなど。あらゆる「部分」に神経がゆき届いています。一方では、建物の使い易さや快適さ合理性も、建物「全体」の組み立て方のうまさによって追求されています。

この「部分」と「全体」を意識的に考える思考方法はカーンの真骨頂ですね。

彼の思惟的な言葉として、他に「私は建築がそうありたいと願っているように設計する」「フォーム」「奉仕する空間と奉仕される空間」「光」などがあります。カーンの世界観の中でじっくり考えてみると、これらが豊かで刺激に満ちた金言であることが理解されてくるでしょう。

実際、カーンの設計した建物を訪れた人はだれもが、図面や写真からは読み取れなかったすばらしさに感動するのです。