19/75 ザハ・ハディド

ken1062007-01-19

英国の建築家ザハ・ハディド女史のドローイングです。香港のビクトリア・ピーク山にジムやバーからなる高級クラブを計画する「ザ・ピーク」コンペのとき描かれたものです。彼女の案は一位を獲得しました。
建築が分解し飛散するようなイメージは印象的ですね。建築物が重力に縛られ、土地に定着せざるを得ない不自由で身動きならない存在であることを逆に再認識させられる程のインパクトがあると思います。
このパワフルで野心的なアイディアは、1920年代のロシア・アヴァンギャルドが参照源でしょう。「建築の限界を拡張する」ことを目指したロシア・アヴァンギャルドの精神を受け継いでいます。ザハ・ハディドのドローイングがユニークなのは、建物が空中で分解し地形と絡み合いながら新たなランドスケープをつくりだすところまでイマジネーションが広がっている点です。
ちなみに「ザ・ピーク」コンペの審査員として彼女の案を選び出したのは日本の磯崎新です。磯崎氏は事前の審査で落選させられていたザハ・ハディドの応募案を強引に引っぱり上げたというゴシップがありますね。