近代建築の一角に「インターナショナルスタイル」があります。米国から始まった「建築様式」ですね。
「1931年、発足してわずか2年の、またそれまでは主に絵画展を行っていたニューヨーク近代美術館は、初めて建築展を企画した。ディレクターであるアルフレッド・バーはフィリップ・ジョンソンとわたしにこの催しの組織を依頼し、翌年それは開催された。」
これはヘンリー・ラッセル・ヒッチコックの書いた一文です。このヒッチコックとフィリップ・ジョンソンの二人が「インターナショナルスタイル」という一冊の本を共同執筆し、これが契機となって近代建築を特徴づける「建築様式」、インターナショナルスタイルが広く知られ一般化していったのですね。
この本で、第一の原理に「ボリューム」という観点が挙げられています。古典建築と大きく異なるのがこの「ボリューム」感であると。建築が抽象化したことを「ボリューム」という観点から考察するのは、今改めて考えても興味深いことです。
コンポジション、構成、シンメトリーといった強力な文法に対抗し、新しい建築のあり方を導く別の視野が開けたと言っていいでしょう。