住居

Le Corbusier

建築の基本が住居、応用が都市計画であるとすると、この2つが同時に含まれるよい実例がフランスのマルセイユにあります。ユニテ・ダビタシオンというル・コルビュジェが設計した集合住宅というか巨大マンションがそれです。フランス政府再建省がル・コルビュジェに発注して1952年に竣工しました。建物の規模は337戸、長さ165M、幅24M、高さ56Mです。住居として面白い点は、1戸が2層あることや太陽からの陽がたくさん入るように考慮されていること、そして23タイプもある豊かな住戸のバリエーションなどです。都市計画といっても単体の建物ですが、住戸以外のじつにさまざまな施設が建物内に計画されているので、いわば立体的な都市計画といってもおかしくないんですね。最上階に幼稚園、屋上には公園、プール、体育館があり、中間階には食品店、本屋、郵便局、そしてホテルまであります。人々の暮らしに必要な施設がしっかりあるのです。それから、デザインの特徴として建物全体がピロティで持ち上げられている点も非常にユニークです。地面の高さにはピロティしか存在しないので周囲の交通は建物によって遮断されることなく自由な行き来が可能になっています。一部は駐車駐輪場に利用されています。建物のシルエットとして地面から浮いているようなイメージなんですね。実はこの建物、豪華客船のメタファでもあるんです。設計したル・コルビュジェは車や飛行機、船などの乗り物を建築に対比させて語ることがよくありました。実際、船に乗るのが好きだったようです。

cf2004/1006