56/75 ヴォアザン計画

ken1062007-03-20

これはル・コルビュジェの「ヴォアザン計画」Plan voisin のスケッチです。パリの中心部に超高層ビル群を建てることを提案する、非常に大胆な都市計画です。パリが抱える諸問題を超高層ビルでいっきに解決しようとするものですね。1925年に行われたパリ万国博覧会エスプリ・ヌーボー館で展示されました。
「ヴォアザン計画」はオースマンのパリ大改造を前例としています。コルビュジェもパリの古い街や建築物を破壊し、新しい道をつくることから始めています。まずパリの中心部に幹線道路を通し、交通のスムーズな流れを確保する。幹線道路は3種類、幅120m、80m、50mとし、碁盤目状に計画して整った土地=ブロックを形成する。
そして、各ブロックには高さ200mの超高層ビルを建てる。それぞれのブロックには18棟の超高層ビルを建設し、事務所と住居を計画する。働く場所と暮らす場所を近接させて、効率のいい生活環境を実現する意図がありました。
ここでポイントなのは、容積率が大幅にアップしたことで、土地に対する建物の割合が、現状の75%からわずか5%になることです。そして残りの95%を、なんとすべて都市公園にする計画なのです。パリの中心部がとにかく大幅に緑化される訳ですね。
さて、この「ヴォアザン計画」の特徴としてもう一つ、パリを自動車のまちにしようとしたことが挙げられます。太い幹線道路をまちの中心部に通したことで、自動車はまちの中をどこでもスムースに走れるようになります。とても便利なことでしょう。
実は「ヴォアザン計画」は自動車会社のプロモーションでした。「ヴォアザン」とは自動車会社の名前で、コルビュジェのアイディアに賛同したヴォアザン社が計画の制作を後援したのです。コルビュジェはこのプロジェクトをつくるにあたって他にシトロエン社とプジョー社にも声をかけています。
「ヴォアザン計画」はコルビュジェの都市計画の金字塔「300万人のための現代都市」が発表されてから3年後に制作されました。