水平線

Agora in Athens

水平線は人工的でニュートラルな創造物です。

自然の中に強い水平線が存在すると目立ちます。そして、それは人工物であることを示しますね。このことは、山や海に行ったとき、真っすぐな水平線が遠くに見えると、あれは建物だなと判断することで感覚的に理解できるのではないでしょうか。

一方、水平方向に伸びても、距離が増大したからといって重力は増大しないという意味でニュートラルです。垂直方向と対照的です。

重力の負荷のもと、登る降りるというアクションに大きな意味がある建築物にとって、ニュートラルな広がりが保証されるのは水平方向ですね。

この建物はアテネにあるアゴラ美術館です。この辺は古代ギリシア時代「アゴラ」だった場所で、当時の遺跡がこの美術館で保存されています。「アゴラ」とはマーケットを意味し、古代アテネの中枢だった場所です。アテネは全ての道がアゴラに通じるように計画されていたといいます。ソクラテスが問答したのもこの場所だったと言われています。

cf2004/1012