豊かな空間 2004.11.14

鎌倉の美術館

鎌倉にある神奈川県立近代美術館のテラスです。とても気持ちのいい場所です。テラスは平家池に面しており、季節によって違った表情を見せてくれます。

写真の上は冬の様子、下は夏の様子です。

池にはたくさんのハスが植えられていて、夏の暑い時期は生い茂ったハスがテラス周辺の強い日ざしと熱気を和らげる働きをします。おかげで涼しい風がテラスを抜けて行きます。

逆に冬になると池のハスが枯れて水面が現れます。そのため低い高度からの光が水面で反射し、テラスに差し込んで来ます。その反射光が軒裏にモアレをつくり出し、とても綺麗です。

この美術館は坂倉準三氏が設計した県立の施設ですが、実はかなりの低コスト建築です。そうは言っても、このような豊かな空間をつくることが可能だという事ですね。

坂倉準三氏が設計したということで、1つ面白いエピソードがあります。それは坂倉の師匠だったコルビュジェがこの美術館を見に来たのです。1955年の事。コルビュジェは来日した際、少ない時間を割いて、わざわざ鎌倉のこの場所まで愛弟子の作品を見にやって来たのですね。2人の絆の強さを物語るエピソードだと思います。