空間とは 2004.11.19

機械頭

ダダのアーティスト、ラウル・ハウスマンの作品です。1919年に制作されました。ハウスマンはこの作品で「我々がいかに時代の流行に毒され偏見をもって生きているか」を視覚的にあばきたてています。

人間は本来だれもが純粋な頭=感性をもっているのに、時代の発明品のせいで純粋な感性がねじ曲げられている。それは、まるで頭にがらくたを載せて視野を曇らせているようなものだ。

これは1つの解答だと思います。我々はいろめがねをかけて世界を眺め、偏狭な世界観のなかに暮らしている。

頭に載ったがらくたが意味するもの。それは「時代の発明品」ばかりでなく、人間の年齢や性別、国籍や職業を暗示していると解釈したらどうでしょうか。

人間は同じ空間に対しても、人によって感じ方が違い、印象の強さが違う。人間とは実にいろんな感覚をもった厄介な存在だ、ということをこの作品は表しているのではないか。

ハウスマンのこの作品は、人間を容れる器をつくる建築家への警告を発していると考えることも可能でしょう。