人間のおもい 2004.11.23

瀧口修造の書斎

瀧口修造氏の書斎。当時、東京の西落合に存在した「小宇宙」です。

瀧口修造シュールレアリスムの詩人です。1903年富山県に医者の息子として生まれ、慶応義塾大学に学びました。生涯を通じて美術活動を貫き1979年に他界しています。

ブルトンデュシャンと同時代人で、彼らとも交流があった日本を代表する重鎮です。人となりは穏やかで、内に厳しさを秘めた好々爺だったようです。その彼の書斎はたくさんの本とオブジェで溢れた「小宇宙」でした。

そこには、ジャスパー・ジョーンズやミロなど世界の巨匠から個人的に贈られた作品が多くありました。かたや、瀧口氏がどこかで拾ってきた正体不明の物体が大切にコレクションされていたりもしました。本人はこれらのオブジェをどれも平等に大切にしていたと、書斎に招かれた人たちが証言しています。瀧口氏は集めたオブジェを「記念品」と考えていたようです。

持ち主が大切にし、可愛がっているオブジェには命が宿っている。特別な存在として高いエネルギーを宿している。ものは人間の愛着や思いが込められれば、特別な存在になるのです。