72/75 西落合の小宇宙

ken1062007-04-16

瀧口修造氏の書斎です。そこは珍しい本と不思議なオブジェで溢れたシュールレアリスムの小宇宙でした。
ミロから個人的に贈られたリトグラフブルトンの初版本。デュシャンからの手紙。ステッキ。貝殻。どこかで拾ってきた未確認物体。マンレイの写真。煙草。リバティーパスポート。
愛情を込めて、身近に置いたオブジェを彼は「記念品」と呼んでいました。この書斎に置かれていた「記念品」には命が宿っていたに違いありません。東京・西落合に小宇宙を生み出したのは瀧口氏の情熱ですね。
建築に「生きた」空間を生み出すのも、また人の情熱だということを思い出します。
彼が亡くなった後、オブジェは故郷の美術館に寄贈されました。「記念品」はただの記念品になりました。