73/75 デ・スティル

ken1062007-04-17

シュレーダ−邸 Schroder House の図面です。単純な図形。原色の使用。相互の関係を確定しない構成。こうしたデ・スティルの特徴を読み取ることができるかと思います。
ここでは、壁や柱など建築物の構成要素をシンプルに抽象化した結果「空間」それ自体が意識されるようになったことがポイントです。
「空間」の存在に比重が移れば、これまで建築の主役だった壁や柱は取り替え可能な存在となり、必ずしもその位置に固定されている必要がなくなってきます。
こうして、建築物の構成要素は相互の関係を確定せず、ただ「空間」を如何に演出するかという使命のみに奉仕することになりますね。
ところで「空間」は個人によって感じ方が違う不定形なものです。また条件によって常に違った様相を示す奥深い存在です。
こうしたことをふまえて、シュレーダ−邸に見られる構成要素の抽象化と相対化が意味することを少し考えてみると、それは「空間」がつねに別の可能性に向かって開かれていることが挙げられますね。心理的、物理的なファクターで「空間」が千変万化する。これは豊かな建築の証拠です。