24/75 「4次元空間」

ken1062007-01-26

これはドースブルフ Theo van Doesburg の「4次元空間のカラーコンストラクション」です。ドースブルフは1920年代オランダ、デ・スティル De Stijl のアーティストですね。彼が制作したこのドローイングに「4次元空間」の可能性を見てみたいと思います。「4次元」とは、3次元(空間)に一つ次元が足された、つまり立体にもう一つ「時間」が加わったと考えてみましょう。
さて、このドローイングでは壁や床の区別がなく抽象化されています。そして、それらは一つ一つバラバラで空間に浮遊していますね。空間の構成要素が一ヶ所に固定されていないこうした状態は、他のバリエーションを暗示しています。それぞれの要素は相互の関係を変化させて、様々なポジションで空間を構成し得る訳ですね。
これは、要素が時間によって位置を変え移動する、つまり空間が時間軸の上で変化することを意味します。これを「4次元空間」と考えたらどうか。
あらためてこれを「建築」として見ると、場所や歴史のしがらみから解放され、古典と訣別するための試みのようにも思えてきます。
ちなみに、ロシアのアバンギャルド運動でも同様のアイディアが考えられていました。オランダのデ・スティルと同時期のことです。その後、巨匠ミ−スによって「4次元空間」は無限定空間=「ユニバーサルスペース」として定式化され、近代建築のドグマとなりました。