25/75 オーブ・アラップの人間性

ken1062007-01-29

オーブ・アラップ Sir Ove Arup(1895-1988) はとても魅力的な人物だったようです。構造家としてたいへん厳格な仕事をした反面、美術や音楽などにも興味をもっていました。建築家レンゾ・ピアノはオーブ・アラップのことを次のように評しています。
「彼は非常にヒューマニスティックな人間的な側面を備えたエンジニアです。教養を備えた人であり、非常に繊細でアーティスティックであり、複雑な人間だった。詩も理解したし文学やアートへの造詣も深かった。自分で音楽も演奏しました。」
また彼は気さくな人柄で、入社したばかりの新人にも気軽に声をかけたそうです。英国生まれのエリートでしたが、学歴の違いに対する差別意識など一切ない、平等主義者でした。人種的偏見も持たず、優秀な人材ならばアフリカやアジアからもスタッフとして会社に受け入れました。
アラップのこうした人柄は、オーブ・アラップ&パートナーズ Ove Arup & Partners のその後の驚異的な成長に大きな影響を与えたことでしょう。彼の名前を冠したこの会社は、戦後、1949年に友人3人と設立されました。現在33カ国に77の事務所を構え、7000人以上が所属するマンモス事務所となっています。