アルヴァ・アアルト
Hugo Alvar Henrik Aalto (1898-1976)
アアルトはフィンランドの建築家です。他に家具や日用品も手がけました。「北欧デザイン」の雄ですね。
アアルトはヘルシンキの工科大学で建築を学び、卒業してほどなく事務所をはじめます。35歳のときパイミオのサナトリウムで一躍世界に知られるようになりました。
彼が40代前半の頃、第二次大戦がありましたが彼は徴兵されず、アメリカのMIT(マサチューセッツ工科大学)に招待されて学生に建築を教えています。当時のフィンランドは旧ソ連と交戦し、国力が大きく低下していました。
戦争が終わると再びヘルシンキに事務所を構えて活動を再開します。
アアルトは若い頃から晩年に至るまで設計コンペに応募し続けています。1位入選を果たして実現させたプロジェクトは少なくありません。パイミオのサナトリウムもコンペで獲得したものでした。
森林に覆われた緑豊かなフィンランドは良質のデザインを生み出す文化的土壌があります。アアルトはフィンランドがもつ、この「デザイン体質」を誰より体現した建築家だったような気がしますね。彼は理論を発表したり論陣を張ったりすることはありませんでした。
フィンランドはアアルトが生まれた時期にロシアから独立し、近代国家への道を歩み始めていました。旧ソ連の圧政に苦しみながらも国内の近代化を目指していたのです。そんなフィンランドにとって、アアルトの建築は近代化した国に相応しいものだったのですね。彼のデザインは古典から脱した近代建築です。