ヴァザーリ

vasari

ヴァザーリ 
Giorgio Vasari (1511-1574)

ヴァザーリルネッサンス時代の画家、建築家です。「画家・彫刻家・建築家列伝」という人名事典のような本を書いた人物として有名かもしれませんね。

ヴァザーリは13歳の時フィレンツェに移住し、ここで多くの芸術家と交わりながら絵画や彫刻の腕を磨きました。かのミケランジェロとも親交があり、彼の才能を愛し深い尊敬の念を抱いていたことが知られています。

25歳のとき画家として独立し、フィレンツェとローマに拠点を置いてイタリア各地での活動を開始します。主な仕事は祭壇画やフレスコ画の制作でした。

そして43歳のときフィレンツェ公国の君主、コジモ1世に認められ、メディチ家の宮廷画家として迎えられました。以降、ヴァザーリメディチ家パトロンにもつ巨匠としての地位を築いてゆくのです。

ヴァザーリの建築家としての仕事はウフィツィ美術館(当時は市役所)と長い回廊が有名でしょうか。回廊の方はコジモの密命を受けて計画した秘密の廊下で、つねに暗殺の危険があったコジモが市役所と宮殿を安全に行き来するために一度も外部に出ることなくたどり着けるという面白い建築物ですね。「ヴァザーリの回廊」です。

画家としてはフィレンツェのヴェッキオ宮殿の大広間に大フレスコ画と天井装飾の制作を行っています。また大聖堂ドゥオーモのドーム内部にも大規模なフレスコ画を描いています。どれもフィレンツェの国家プロジェクトと言っていい大きな仕事ですね。

著作家としてのヴァザーリは「画家・彫刻家・建築家列伝」という本で、やはり大きな存在感を放っています。その内容は13世紀後半から16世紀後半までの約300年間に現われた天才芸術家の伝記です。

ここでヴァザーリは約160人の芸術家を取り上げ、その作品と生涯を記述しました。この大著を通して読むと人物伝であることを超えて、ルネッサンス時代の美術史が浮き彫りになるとさえ言われています。

ヴァザーリは亡くなる2年前までメディチ家に仕え、63歳のとき他界しました。