ブロンデル

blondel

ブロンデル 
Jacques-Francois Blondel
(1705-1774)

ブロンデルはフランスの建築家です。革命に向かう動乱のフランス社会において、建築教育を通して大きな貢献をした人物です。実作は少なかったようです。

ブロンデルの思想は従来の古典建築に立脚しながらも、新しい社会階層として台頭し始めた「市民」に対する配慮がありました。彼は「市民」にとっての建築のあり方を模索したのです。

ブロンデルのそうした新進性は、古典建築の中では低くみられていた生産施設の重要性を説いたり、住宅建築のプランニングに柔軟性をもたせることを許容したことに現れています。当時の建築家は貴族の御用聞きでしたから、ブロンデルのような考え方ができる人物は稀だったんですね。

そんな彼でしたからアカデミックな世界とは相容れず、ブロンデルは自らの建築学校をつくりました。38歳のとき私的な学校を設立し、ここで彼が信じる新時代にふさわしい合理的な芸術教育を開始したのです。ここから幾人かの有名建築家が育ちました。

その一人がルドゥーですね。彼はブロンデルの学校で建築を学び、やがてブルボン王室の建築家にまでなりました。

ブロンデル自身も、その後フランスアカデミーの教授に就任します。彼はアカデミーで講義するかたわら、20年近く書き続けた講義録をまとめて「建築講義」という本を刊行しました。また啓蒙思想が勃興するなか刊行された「百科全書」の執筆者に加わり、建築の項目を担当しています。

ブロンデルの存在は建築様式のターニングポイントに位置し、建築史を考える上で欠かせない存在です。古典主義の規範がくずれ、華美なロココ様式を最後に古代ギリシアから続いた様式の流れがついに途絶えたことと、フランス革命封建社会が終焉したことが重なった時代ですね。

ナポレオンの出現で再びフランス社会が経済的に立ち直ると、建築物の意匠に求められたのは古典のリバイバルである「新古典主義」だった訳です。

こうした観点は「建築」なる概念が成立するプロセスと考えることもできるでしょう。

ブロンデルが生きた時代はフランスのブルボン王朝が崩壊してゆく時期でした。彼が10歳のとき太陽王ルイ14世が亡くなり、最後の王ルイ16世が即位した年にブロンデルは死去しました。