F.マンサール

mansart

F.マンサール 
Francois Mansart (1598-1666)

F.マンサールはフランス、バロック時代の大建築家です。絵画のニコラ・プッサン、演劇のコルネイユ、そして建築のマンサール。この3人が当時フランス文化を代表する芸術家でした。

マンサールはイタリアのボッロミー二やベルニーニと同じ世代ですが、バロック様式の建築家というよりは古典建築の大御所という感じですね。ちなみに、マンサールという名前はフランスでよく見かける屋根かたちに付けられています。「マンサール屋根」と言って、途中で折れて急勾配になる直線的なシルエットが特徴です。

マンサールはパリに生まれました。父親は大工の棟梁。建築家 Salomon de Brosse の元で実務を学びました。若い頃から才能を発揮し、20代で早くもパリの有名建築家として知られる存在になっています。

マンサールは城館や宮殿の増築などを手がける建築家として成功しましたが、強すぎる芸術家肌のせいでしばしば仕事を失っています。非常な自信家で、デザイン意図を貫徹するために、すでに完成している建物の一部を取り壊させることもあったようです。作品の完成度にこだわる建築家だったのですね。

そんな訳でマンサールに設計を依頼するクライアントは彼の哲学に共鳴する一部の裕福なブルジョワに限られていたようです。

フランスにはマンサールという名の有名建築家がもう一人います。Jules Hardouin-Mansart といい、F.マンサールより50歳くらい若い彼の親戚です。