様式の誕生 43/75

ken1062006-11-17

ベルリンのアルテス・ムゼウム Altes Museum (旧美術館) です。ドイツの建築家シンケル Karl Friedrich Schinkel が設計した「新古典主義」の建築ですね。この建物が完成した1830年頃はプロイセンという国でしたが、シンケルは近代化をはじめたドイツにおける建築界の第一人者として国家の重要施設を多く手がけています。その作風は「新古典主義」でした。
我々がよく知っているバロック様式などの建築様式は、古代エジプトから始まって1000年以上にわたって各時代に見合った新しい意匠が存在してきました。ところが、歴史上のある時点で新バージョンの出現がストップしたのです。おそらく18世紀末ごろ、フランス革命の頃です。「新古典主義」はその直後にリバイバルとして現われた建築様式です。この写真の柱のように、古代ギリシアがもっていた幾何学的で厳格な雰囲気を模倣する点が特徴ですね。
そして興味深いことに、この「新古典主義」が「様式の誕生」を告げてもいるのです。なぜなら、ゴシック、バロックなど特徴ある意匠の建築物がつくられたのは「新古典主義」より数百年前ではありますが、ゴシック様式バロック様式のように「様式」として明確に定義されたのはこの時代だったからです。