様式の寿命 42/75

ken1062006-11-16

スペインのコルドバにあるメスキータ mezquita の内部です。メスキータはイスラム教寺院ですが、中央部はキリスト教の祭壇と天蓋が増築されています。これは建設当時から800年以上にわたって増改築が繰り返されてきたためです。
ところでスペインになぜイスラム寺院があるのかと言えば、歴史上イスラム勢力に支配された時期があるからですね。ここコルドバを始めスペイン南部アンダルシア地方は、450年近くイスラム勢力の支配下にありました。はじめキリスト教会としてスタートしたこの建物も、モスクに改造され「メスキータ」の名前が付けられたのです。その後、レコンキスタによって再びコルドバキリスト教のまちになります。「メスキータ」も教会の機能をもつための大改修が行われました。13世紀のことです。
という訳でこのメスキータには長きにわたって続いた改築によって、2つの宗教とその様式が幾つも混在しています。こうした事実から、建築様式によって建物が作られた時代が分かると思いがちです。しかし世界中の建築の中には、近代にゴシック様式で建てられた教会だってたくさん存在しますね。様式の寿命は時代と無縁です。