66/75 建築様式の時代性

ken1062006-12-10

ゴシック様式の建築です。といっても1920年代に米国シカゴでつくられたものです。シカゴトリビューン社 Chicago Tribune の超高層ビルですね。有名な国際コンペ(設計競技)で選ばれた優勝案です。設計者はレイモンド・フッド Raymond Hood  
なぜ20世紀に建てられたビルなのにゴシック様式なのか?中世ヨーロッパの教会でもないのに。
我々はこの事実から、建築様式で建物の竣工時期を確定できないことを知ります。バットレスが使われていても、ただのデザイン上のダミーかも知れません。シカゴトリビューン社ビルがゴシック様式の意匠をまとっているのは、高層ビルの垂直性を美しく見せるためだとか、威厳を持たせるためだとか説明されていますが、建築以外の分野のひとはどう思うでしょう。
とにかく、建築様式は成立した時代から脈々と現在まで生き続けているんですね。しかしそう考えると、逆に新しい様式が生まれなくなって以来、建築家は常に「様式」のカタログから意匠をピックアップすることしかできなくなっているとも考えられます。これは古典建築に限ったことなのでしょうか?よく、現代において創造は「編集」にすぎないと言われていますが、、、