31 本には理想を

建築四書

パッラーディオは自分の作品を「建築四書」に載せるとき、実際には建設されなかった部分まで含めた理想化された図面を用いました。これは「建築四書」の大きな特徴ですね。パッラーディオは実務肌の建築家で多くの実作を残しましたが、全ての仕事が計画通りに実現したわけではありません。実際に建てた建物はクライアントのものですから彼の意図に反するものもあったでしょう。
ところで「建築四書」にはもう一つ特徴があります。それは文章の記述の仕方、言葉使いです。理論書にありがちな「建築とは、、、」といった偉そうな表現があまりなく、「私はこうした」「私にとってこうだ」という言い回しが多く使われているのです。これは彼の謹み深く謙虚な性格が現れていて好感がもてます。

「建築四書」1570年 by Palladio パッラーディオ