「建築四書」の1ページです。作者はアンドレア・パッラーディオ Andrea Palladio ですね。設計した館の図面とその解説です。パッラーディオは「建築四書」に自作の図面を載せる際、実現できなかった部分を補い、理想的な状態の図面としました。自らの作品を完璧なかたちで本に載せたわけですね。
高い理想をもつ建築家ならごく自然な行為ですが、後年の研究者はこれが逆にパッラーディオ本来の特徴を覆い隠してしまったと指摘しています。
彼は多くの仕事をこなした実務肌の建築家でした。実現した作品の中にはフェイクまがいの設計も存在しています。華麗で見事な古典建築に見えて、工期や予算の制約で実はレンガ積みに左官仕上げの安普請だったりする作品もあるようです。つまりパッラーディオは現場の状況に現実的に対処する実務家としての側面を強くもっていたのです。
こうした面が「建築四書」の完璧な図面によって覆い隠されてしまったと言う訳です。