46/75 第三インターナショナル記念塔  

ken1062007-03-02

これは「第三インターナショナル記念塔」"Monument to the Third International" の模型です。「第三インターナショナル」は1919年にレーニンがつくった労働運動の国際組織ですね。その運動を鼓舞するために計画されたのがこの記念塔です。
デザインしたのは建築家ウラジミール・タトリン Vladimir Tatlin です。計画ではエッフェル塔より高いものになるはずでしたが、実際に建てられることはありませんでした。模型は6m以上あり、1920年にモスクワやペテルブルクで展示されたという記録があります。図面は現存せず、この記念塔の内容を知る手がかりは、雑誌か新聞に掲載された計画の概要と2枚のイラストしかないようです。
それによると、螺旋状の構造体に3つの立体が吊るされ、その内部にさまざまな施設が収容されるという構成です。塔の軸となっている支柱は地面に対して傾いていて、その角度は地球の地軸の傾きに一致させてあります。吊るされた3つの立体は下から立方体、ピラミッド、円柱で、それぞれ1年に1回転、月に1回転、1日に1回転する計画となっています。立体はガラス張りで、内部に会議場、行政機関、報道センターなどが配置されます。
ところで「第三インターナショナル」とは何でしょうか?
第三インターナショナル」は別名コミンテルンといい、第一インターナショナル第二インターナショナルについで組織された共産主義を掲げる労働運動の団体です。ロシア革命の立役者レーニンが立ち上げた組織で、1943年まで存続しました。ここに参加した人たちは社会主義思想から離れ、共産主義を理想と考えた連中です。
こうした政治上の思想と、塔のデザインがどんな風に対応するかは押えておくべきポイントだと思います。螺旋、地軸の傾き、立方体、ピラミッド、円柱、回転する立体群、年周運動、日周運動、ガラス張り、、、訳ありなキーワードに満ちていますね。