寸法 28/75

ken1062006-11-02

フランスの数学者ラグランジュ (Joseph-Louis Lagrange) です。1メートルの長さを決めた人物です。1800年頃のことでした。そのルールは、北極から赤道までの長さを測量し、その10,000,000分の1を1メートルとするものです。建築物を設計するとき、寸法は非常に重要ですが、それは地球の大きさを基にして決められていたというわけですね。
ところで建築物の設計に使う寸法は、本来なら人体の大きさを基準にするべきでしょう。出入口や階段の高さなど、我々が身近に接するところの大きさは、人体サイズを基準にした寸法で表記されるべきです。そういう意味で、インチや日本の尺貫法は建築の寸法にはふさわしい単位です。
しかし、メートル法の理念はもっと大きな視野に立って決められたものですね。それは長さと重さの体系を一本化し、世界共通の単位として科学技術の発展に寄与することを目指していたのです。建築はその一分野に過ぎません。この理念はフランス革命の時代、政治家のタレーランが提唱したとされています。彼の提案は議会で承認され、この写真のラグランジュをリーダーとして、当時の科学者たちが実際にメートル法の制定を行ったのです。ちなみに、1キログラムは一辺が10cmの立方体に水を入れたときの重さとして定義されました。したがって、質量の単位系はメートル法に包含されるものですね。
1メートルの原器は、白金でつくられてフランスが保管していました。イギリスはメートル法には不賛成でした。日本は明治18年にフランスからメートル原器とキログラム原器を受け取り、メートル法に乗り換えました。現在では1メートルの正確な長さは、光の波長で決められています。