12/75 モジュロール

ken1062007-01-10

「モジュロールの尺度の習作」です。コルビュジェスタディー段階で細部の不備に悩み、アメリカでアインシュタイン教授に相談しています。二人は「建築を目指して」の頃から面識がありました。その後、アインシュタイン教授から手紙が届きコルビュジェは次のような激励の言葉を受け取ります。
「これは比例に関する言語で、悪を複雑にし、善を簡単にする」「正確に命中する兵器だ」
モジュロール Modulor は2つの系から成り、このスケッチでは赤い線と青い線で表現されています。赤系、青系それぞれの基準値をフィボナッチ数列を用いてどんどん増やしていくと、一つの寸法体系が構築できるという仕掛けです。家具のデザインから都市計画まで適用し得る壮大なアイディアですね。
ところでモジュロールの基準に使われた人間の身長は183cmですが、これは「イギリス人のりっぱな人」の身長、6フィート=182.88cmから採られました。欧米人でもちょっと高すぎる数字のようですが、それには理由があったのです。
コルビュジェはモジュロールを世界に普及させるため、インチ法とメートル法のどちらとも互換性があるようにしたかったのですね。しかし平均的なフランス人の身長である175cmを基にすると換算値に端数がでて不便でした。そこで「イギリス人のりっぱな人」の身長を採用したという訳です。