49/75 ニュートンの裏の顔

ken1062007-03-07

ニュートン肖像画を集めたものです。同一人物とは思えない程、表情がさまざまですね。ニュートンは科学界の巨人である他に、あまり知られていない様々な面を持った人物です。
例えば、英国の造幣局長官として貨幣制度の整備に多大な貢献をしたこと。その中には、偽金造りの摘発など科学者とは思えない裏世界の仕事が含まれていること。あるいは、錬金術の研究を密かに本気でやっていたこと。生涯、女性関係がなかったこと。などなど
この肖像画全集はそんな彼の多様な顔をよく表していると思います。
ここで、一つニュートン最高の発見「万有引力」についてふれておきます。
万有引力」の考え方は当時の科学者の間でも論争を引き起こし、容易に受け入れられる理屈ではありませんでした。質量をもつ2つの物体間には、互いに引き合う「引力」が必ず存在するという発想は、確かに途方もありません。当時にあっては、オカルト的な霊の力ではないか、中世魔術への逆行だ、といった批判があっても自然なことでしょう。
しかしニュートンはこの目に見えない不思議な「引力」を数学を使ってみごとに説明したのです。それを「プリンキピア」という一冊の本にまとめました。
ニュートンのすごさは、ケプラーが天体研究で重力の概念をすでに知っていたにもかかわらず、その根拠を霊や魂の観念に求めたのに比べ、ニュートンは数学を用いて重力の概念を体系的に理論化した点だといわれています。
しかし、現在の我々が知っている物理の古典力学にはまだ遠い、片足をキリスト教神学に置いた研究だったことも事実です。ニュートン自身、非常に敬虔なキリスト教徒であり、「万有引力」について「宇宙に遍在する神の恩寵を数学という形をとって表現したもの」と考えていたことが知られています。
このような面から、「プリンキピア」が科学の専門書としてばかりでなく、教養ある貴族なら必ず持つべき神学の本という扱いだったことも頷けますね。