ロバート・スマーク

smirke

ロバート・スマーク 
Sir Robert Smirke (1780-1867)

ロバート・スマークは英国の建築家。代表作品は大英博物館ですね。建物正面にギリシア神殿の意匠を用いたこの世界一有名なミュージアムは「新古典主義」のギリシアリバイバルに位置づけられています。

このような歴史的位置づけを考えると、スマークは古典建築が「終わった」時代の建築家と見なせるでしょう。建築がまとうべき姿、かたちはもう相対的な基準でしか決まらない時代になっていたのです。

例えば、そもそも博物館がなぜギリシア神殿なのか?

それはこの施設建設が大英帝国の威信をかけた国家プロジェクトだったからです。この時代、列強国にはそれにふさわしい文化芸術の殿堂が必要でした。西欧文明発祥の地ギリシアの神殿はそれにふさわしいイメージを持っていたのですね。

スマークのデザインはこうした意図に基づいてなされた訳です。

当時ドイツでもベルリンの真ん中に国立の博物館をつくる計画が進行していました。その任を負っていたシンケルは、ロンドンを訪れて建設中の大英博物館を視察しています。シンケルの旅日記にそのスケッチを見ることができますね。

ベルリンに帰ったシンケルはベルリンの国立博物館をスマーク同様、ギリシア風で設計しました。これが現在の Altes Museum です。

ちなみにスマークとシンケルは1歳しか違わない同世代の建築家ですが、2人の間に交流はなかったようです。

スマークはロンドンで画家の息子として生まれ、20代前半のとき4年間シチリアギリシアを旅行しています。

そしてイギリスに帰国すると、やり手のビジネスマンとして仕事に取り組み若いうちに地位と名誉を得ています。33歳のとき国家公認の建築家となり大御所の仲間入りを果たします。他にソーンやナッシュがいましたが、みな彼より30才近く年上です。

またスマークはナイトにも叙せられています。晩年の彼の行動で興味深いのは、65歳のとき引退宣言をしたことですね。弟のシドニー・スマークが彼の後を引き継ぎました。