07 崇高な空間

ブレ

ブレは18世紀末のフランス革命期に生きた建築家です。美術史ではロココが終わり、新古典主義が出てくる変換期です。政治史ではブルボン王朝の終焉とナポレオンの台頭に対応していますね。18世紀末は社会制度ばかりでなく、人々の心の内面も大きく変化した時代です。当時、人々は新しい社会の到来に熱狂し、人類の偉大さに酔いしれていました。神であった王は生身の人間だった。無限の広がりがあると信じていた自然は、実は有限ではないか。そんな意識が人々の内面に芽生えたのです。そして有限でちっぽけな人間でも自然を取込み支配できる。有限な人間が無限の広がりを記すことができるかもしれない、という感覚を生んだのです。幻視の建築家たちはこうした時代の空気を感知し、超巨大スケールの建築物として表現したのです。その本質は従来の美の基準からかけ離れた異様なセンス、「崇高」さでした。

Projet du MUSEUM by ブレ