地中海にはかつて「ベネチア共和国」Republic of Venice が一大勢力として存在していました。これはベネチア共和国が支配したエリアを表した地図です。各地域を領有した時代は異なっていますが、北イタリア及びアドリア海の東側、エーゲ海のクレタ島などが含まれていますね。
この地図では示されていませんが、領地の大小よりも、海上に確保されていたベネチア共和国の勢力範囲がいかに広かったがポイントだと思います。
そして「共和国」というように、皇帝を戴く封建制度とは違う民主政治が行われていた事実も重要です。ドージェ Doge 呼ばれる国家元首は世襲ではありませんでした。
そうはいっても強力な海軍を有し、武力を背景にした交易によって繁栄を維持した点は同時代の他の国々と同様です。
「ベネチア共和国」は7世紀末から18世紀末まで、約1100年間ものあいだ存在しました。東ローマ帝国やオスマントルコ帝国にも倒されることなく、かつては十字軍を助けてコンスタンチノープルに支配力を及ぼしたりもしています。最後はナポレオン率いるフランス軍に滅ぼされました。当時のオーストリア帝国の属領となり、やがてイタリア共和国に編入されて今日に至っています。
kenちく小考＜その11＞地中海のまち巡り 完
