53/75 フレーム除去の効果

ken1062007-03-14

カジミール・マレービッチ Kazimir Malevich の作品です。1915年に開催された展覧会の様子ですね。ここで注目すべきは、絵に枠がないことです。
この写真からもわかる様に、壁に展示されたマレービッチの作品群は、相互に呼応し、全体として幾何学的な図形が浮遊しているような印象を与えます。
これは絵のフレームを取り除いたことによる効果だと考えることができますね。1枚の絵に描かれた幾何学図形が、その絵の構図から解放され、他の絵の図形と関係性をつくりながら、さまざまに変化する。こんなイメージを膨らませることも可能です。
絵画を一つの作品として成立させているのは、実は枠=フレームです。絵画はもともと建築の一部でした。多くは天井や壁に描かれていたので、建築に従属する存在だったのです。ところが、絵画に枠をはめることで、建築から分節され、1つの作品として独立することができたという歴史上の経緯がありますね。
という訳で、絵画にとって「枠=フレーム」はその存在を保証する生命線です。