65/75 時間が飛翔する

ken1062007-04-03

茶室「待庵」のにじり口です。「待庵」は千利休がつくった4帖半の茶室で、極小の名建築ですね。京都の妙喜庵にオリジナルのまま保存されている国宝です。
「待庵」の客をもてなすスペースは2帖半。畳が2帖、床の間が0.5帖。残りの2帖は次の間と勝手ですね。とにかく全てが必要最小限にまとめられています。しかし意外なことに、にじり口は他の茶室より少し大きめに作られています。
さて、この2帖半の極小スペースで客と主人はどんなふうに振る舞ったのでしょうか。2人は至近距離で対峙しています。体臭までとどいてしまいそうです。お互いの息づかいが聞こえてきます。その近さは何をもたらしたのか。心と体のぎりぎりの激突があったことでしょう。
一期一会の舞台として最高です。
例えば「待庵」での「心と体のぎりぎりの激突」がもたらしたものとして「時間が飛翔する」感覚というのはどうでしょうか。"時"が早く進んだり止まったり。反対方向に進んだり2つに別れたり。あるいは、別の"時"が飛び込んできたり、飛び出していったり。こんなイメージです。
「待庵」のしつらえがそれをバックアップします。窓からの薄光、天井の高さ、壁の仕上げ、その感触、畳の堅さ、擦る音、部屋の湿気、すする響き、、、