6. エッセンスの応用
東京ディズニーランドの「イッツ・ア・スモールワールド」です。我々は楽しいことをしていると「時間」が経つのを忘れて夢中になることがありますね。ここで言う「意識の中の時間」とは、人間が感じる時間の感覚を指しています。このアトラクションのように…
ローマのパンテオン Pantheon です。世界で一番有名なドーム建築でしょう。内部は43mの球体がちょうど内接する大きさで、頂部に9mの孔が開いています。孔から自然光が差し込み内部に陰影の変化を与えています。この孔は光だけでなく、雨や小鳥も入って来くる…
柱は建築の代名詞です。建築学のクラシックな学習は、まず柱の絵を描くことから始めました。過去の建築書には必ず柱のオーダーが解説されています。 建物は柱で支えられています。専門的に言えば、応力が流れている力のパイプです。そして、一方で柱はいろい…
ベルリンのアルテス・ムゼウム Altes Museum (旧美術館) です。ドイツの建築家シンケル Karl Friedrich Schinkel が設計した「新古典主義」の建築ですね。この建物が完成した1830年頃はプロイセンという国でしたが、シンケルは近代化をはじめたドイツにおけ…
スペインのコルドバにあるメスキータ mezquita の内部です。メスキータはイスラム教寺院ですが、中央部はキリスト教の祭壇と天蓋が増築されています。これは建設当時から800年以上にわたって増改築が繰り返されてきたためです。 ところでスペインになぜイス…
ネパールの集落です。ネパールはヒマラヤ山脈にあり、インドと中国に挟まれた長方形をした山国です。この集落は斜面にできた標高1500mの小さな村です。人々は階段状の畑で作物を作って暮らしています。 どんなに奥地の集落でも「自然発生したわけじゃない」…
シチリアにあるギリシア神殿の遺跡です。今から2500年以上前に「構築」された柱です。現代の我々はこの古いふるい柱を見て、よく今まで残ったなぁと感心する一方、古代人の「構築すること」への強い意志を感じ取るでしょう。意志=石のかたまりを一つ一つ積…
「ちいさいおうち」The little house の扉には、作者のバージニア・リー・バートン Virginia Lee Burton が自ら描いた「おうち」の絵が載せられています。家型の代名詞といってもいいほど、この絵はよく知られていますね。 建築は所有者だけのものではなく、…
北イタリアの郊外にある ラ・ロトンダ(ヴィラ・キャプラ) La Rotonda (Villa Capra) です。建築家パッラーディオが設計した貴族の館ですね。 「今日、町から30分ほどの気持ちのよい高台にある豪邸、通称ロトンダ(パッラーディオ設計)を訪れた。たぶん…
長い永い時間に耐えて、今でも存在している建築物には何らかの秘密があるはずです。1000年、2000年という我々には実感できない永い時間、その同じ場所に建ち続けていられた理由を知りたいものですね。「ものと形式」という視点でそれを考えてみたいと思いま…
あらがう=抗う。建築の使命は自然に「抗う」ことです。人間の生命を守り、暮らしを助けることがその目的です。自然を保護するのも大切ですが、まずは生きるために自然と戦う必要があるはずです。建築は自然に「あらがい」、必要とあれば戦う存在だと思うべ…
中国のテレビ局CCTVの模型です。現在、ペキンに建設中の本社ビルで、設計したのは建築家レム・クールハース(Rem Koolhaas) ですね。ここでレムは「水平と垂直」が建築をいかに呪縛しているかを暴いています。 それは「斜め」や「ねじれ」のデザインがビル全…
自然と区別して「大自然」という概念を想定して建築について考えてみようと思います。まず最初のとっかかりとして、「大自然」は「建築」という概念の外側にあって、それぞれ個々の事例として見つけ出せるようなものだとしましょう。「大自然」といった時、…
アニメ映画「風の谷のナウシカ」で登場した巨神兵です。準備不足と巨大さゆえに、自重に耐えられず自己崩壊してしまいます。地上で巨大な物体を直立させようとすれば、大きな重力を受けることになりますね。巨神兵が液状化する巨体を起き上がらせようとする…
フランスの数学者ラグランジュ (Joseph-Louis Lagrange) です。1メートルの長さを決めた人物です。1800年頃のことでした。そのルールは、北極から赤道までの長さを測量し、その10,000,000分の1を1メートルとするものです。建築物を設計するとき、寸法は非…
日本の国会議事堂です。この中央部分は高さ65m、日本で一番有名な建物の一つですね。国会議事堂の設計者は複数名存在し、個人の名前は知られていません。昭和11年(1936年) に竣工しました。 象徴をメモリアルと考えると、象徴としての建築とは、何かを記念し…
建設中の東京タワーです。竣工したのは昭和33年(1958年)10月です。わずか1年ちょっとの建設工事でしたが、いろんなエピソードがあったようです。 たてものつくりはある意味で出来事、イベントです。この世で一つしかない敷地に、実現に関わる各種プロたち…
白洲正子さんが生前、書斎として使っていたスペースです。正面の障子を開けると、外の景色が見えます。机の下は掘りごたつになっていて、使いやすそうです。落ちついたいい書斎ですね。こんなスペースだったら、ここが自分の居場所だと思えるに違いありませ…
厳島神社です。本社祓殿から海の方を見ています。海上には高舞台と大鳥居が軸線上に配置されています。写真を見ると、そとから入って来た自然光が床面で反射してなかを照らしていますね。このように、床で反射した光が室内の奥まで入りなかを照らすのは日本…
フィレンツェの捨子養育院です。ブルネレスキ、1420年代の作品です。捨子養育院はオスペダーレ・デッリ・イノチェンティ(Ospedale degli Innocenti)の日本語訳で、あまり聞き慣れない言葉かも知れません。文字通り、捨て子を養育する施設ですね。 この写真で…
ロンドンの St Pancras Old Church にある建築家ジョン・ソーンの墓です。ソーンはイングランド銀行やダリッチ・ピクチャー・ギャラリーなどの設計で知られる英国を代表する建築家です。この写真でも見られるように、ゆるいヴォルト屋根がソーンの特徴です。…
今年オープンした表参道ヒルズです。手前が同潤館で、以前この場所にあった同潤会青山アパートを復元したものですね。設計者の安藤忠雄氏は同潤会アパートの復元に強くこだわりました。しかし施主側は反対だったようです。古くて汚いマイナスの記憶がしみつ…
パリ郊外にあるサヴォア邸です。水平の連続窓が特徴の一つですね。横に長い窓は、テレビのワイド画面と同じで視界が広がって感じるものです。この部屋の窓も横連窓なので景色が途切れずにワイドな感じです。光もたくさん入って室内は明るいですね。 とはいえ…
ミースの「ガラスのスカイスクレーパー計画1922」の模型です。敷地は決められていません。道路で囲まれた都市の一画を想定していたようです。ビルの平面は2本のコアを芯にしたダブルコアですが、外形はもこもこした、雲かシュークリームのようです。どんな…
幕張メッセで行われている見本市の様子です。幕張メッセは大きな屋根が特徴的で、内部の無柱大空間はさまざまなイベントに利用されています。屋根の働きは幾つかありますが、その中に空間をまとめて一つに統合することが挙げられます。雑多な要素を統一し、…
埼玉県の地下につくられた雨水処理施設です。豪雨による洪水を防ぐ目的で建設されました。「首都圏外郭放水路」というのが正式名称で、国土交通省のプロジェクトです。大量の雨水を地下の巨大トンネルで排水するのが目的です。 ところで建築物の中には人間が…
建築家磯崎新の「フィレンツェ新駅」の模型です。完全フラットな200mの大屋根が提案されています。ブルネレスキの大ドームが垂直への挑戦だったとすれば、磯崎の大屋根は水平への挑戦のようです。200mもある水平な直線はおそらく自然界に存在しないでしょう…
これは構造家フライ・オットーのスタディー模型です。膜構造ですね。建物の構造がはっきり目に見えている点に着目して下さい。力の流れが読みとれるような気がしてきます。一般に、美しいかたちは構造的にも合理的であるとよく言われます。蜂の巣の六角形や…
カナレットが描いた1700年代のベネチアです。サン・マルコ広場やドゥカーレ宮殿が見えています。現在とほぼ同じですね。建築が「動かない」ことを示すために取り上げました。当たり前すぎるこの事実を、あえて考えてみましょう。 我々は日々の生活で、知って…
本日、10月6日は建築家ル・コルビュジエの誕生日です。コルビュジエは1887年の今日、スイスの山奥に生まれました。78年の人生を熱く生き、最後は地中海で亡くなっています。家具から都市計画まで幅広く手がけ、また画家として多くの絵を残しました。 そんな…